こんにちは、次郎長屋の若旦那です。
先日、大阪の「こんぶ 土居」の土居純一さんが
ブログの記事を公開しました。
https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2023/05/01/105934
いやぁ、ビックリしました。
と同時に規模は違えど同じ昆布業界にいるものとして
私も書かないと、、、と思い今記事を書いています。
土居さんの記事を引用させて頂きますが、、
下記の説明は、共立女子大学家政学部 食物栄養学科の、川上浩教授によるものだそうです。
「世界でも、グルタミン酸が含まれるトマトをイタリア料理でふんだんに使用したり、イノシン酸やグアニル酸を含むミルクやキノコをフランス料理で使用したりと、特定の食材が美味しさの素となっていることは認識されていました。日本人は、その美味しさが“うまみ”成分からくるものであることを科学的に証明したのです。以降、海外では“umami”という表現で知られるようになりました」この“うまみ”成分は、特定の微生物が食物の分子であるたんぱく質や脂肪、でんぷん、食物繊維などを細かく分解することで生まれます。最初に発見された“うまみ”成分のグルタミン酸は、昆布が北海道で収穫され、長い時間をかけて海路と陸路で京都や大阪の店まで運ばれる間、昆布に付着した微生物によって偶然生まれたものでした。
出典はこちらです。
https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/advance/magazine/2017/04/25/
凄いな。昆布の旨味成分の「グルタミン酸」はご存知の方も多いでしょう。「元々昆布に含まれている」ものです。
そ・れ・が・・・・・
北前船で運ばれている間昆布に付着した微生物によって偶然生まれたもの
だと言っています。
1年1航海の場合(おそらくこれが一番長く時間がかかる)当時北前船は蝦夷を出向して約3ヶ月で大阪に到着したそうです。
その3ヶ月の間にねぇ、、、真昆布が、、羅臼昆布が、、美味しくなると、、、。
よく「醗酵と腐敗は表裏一体」と言います。ということは、衛生環境の悪かった昔は、
「醗酵して美味しくなる昆布」もあれば「失敗して腐敗した昆布」も必ずあったはずなんです。
「腐敗した昆布」ねぇ、、、そんなの私は聞いた事がありません。
ただし、誤解を恐れず言うならば、
「昆布をしっかりと管理された温度と湿度で保存すれば美味しくもなりまずくも」なることは私は
あり得ると思います。今までも何度か経験してきました。
たとえば、内地(本州)で昆布を保存するよりも、函館に昆布を置いてもらったほうが
明らかに状態は良いです。それは、湿度が低いからです(でも、ここ数年北海道も暑いので
函館にある昆布倉庫でもちゃんと温度湿度管理がされています)
逆に、内地では湿度が高く昆布がシナシナになってしまい腐敗(カビが付いたりする)が始まります。
でも、その「塩梅」が大切で、同じように昆布を漁師さんの番屋(昆布作業小屋)で保存(寝かす)してもらうと
とても程よい状態になり「旨味」が増します。
でも、これは、「醗酵」ではありません。昆布に最初からある何らかの「旨味成分」が増すような現象であり
有用な菌が付着してそれが増殖して昆布が美味しくなるという化学反応ではないと私は思います。
これからは、私の推論ですが、「熟成するとおいしくなるというブランディング」をしている昆布屋さんがいらっしゃったり、「天然酵母で原料の昆布を醗酵させて作った佃煮」などの登場と深く関係があるんじゃないかと思います。
私は決して昆布の売り方や佃煮の製造方法を否定するつもりは毛頭なく、それぞれのブランディング付けとしては羨む位です。
ただ、昆布=発酵食品
となると、今ブームの発酵食品である味噌、納豆、醤油など
様々な食品と同じ効果のある食品
と誤解されてしまう可能性は十分あります。
私も昆布屋の一人としてしっかりと否定させて頂きます。